バリ島で同時爆弾テロ

vclub2005-10-02

バリ島で同時爆弾テロ−19人死亡、51人負傷

http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200510/sha2005100201.html

1日夜の同時多発テロで焼け落ちた商店=インドネシア・バリ島(AP)
インドネシアの観光地バリ島で1日夜(日本時間同日夜)、海岸沿いの2カ所で同時爆弾テロがあり、AP通信によると、少なくとも19人が死亡、51人が負傷した。インドネシアのユドヨノ大統領は死者11人、負傷者は27人と述べた。同国テロ対策当局者は「明らかにテロリストの犯行だ」と断定。インドネシアのテレビRCTIは、死者に「カワサキ・アイコ」という日本人とみられる女性がいると報じているが、情報は錯綜(さくそう)、ジャカルタ日本大使館が確認を急いでいる。


組織的とみられる手口などから国際テロ組織アルカイダとつながるイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(JI)の犯行の可能性が高い。政府報道官はユドヨノ大統領が事件を非難、国家警察長官らに犯人逮捕を指示したと述べた。大統領は現場に向かうという。

大統領は8月、大規模なテロが9−10月に起きる可能性が大きいと警告、治安当局に厳重な警戒を指示していた。

爆発は午後7時半(日本時間同8時半)、欧米やオーストラリア人観光客が多いホテル街のクタ地区にあるショッピングセンターと、飲食店や高級ホテルが並ぶジンバラン地区でのシーフードレストランで複数回発生。

メトロ・テレビによると、警察がジンバラン地区で、爆発した以外に砂浜に埋められた多数の爆弾を発見、4つを除去した。同テレビは、日本人客が多いヌサドゥア地区でも爆発があったと報じたが詳細は不明。

バリ島では2002年10月にクタ地区のディスコで大規模な爆弾テロがあり、オーストラリア人88人や日本人夫婦2人を含む計202人が死亡した。

同事件で治安当局はJIの爆弾専門家アザハリ容疑者らマレーシア人2人を首謀者と断定。実行犯グループ多数を逮捕、3人が死刑判決を受けたが、アザハリ容疑者は依然インドネシアに潜伏しテロを計画しているとみている。

03年8月にもジャカルタで米国系高級ホテル、昨年9月にオーストラリア大使館を狙った爆弾テロがあり、同容疑者らの仕業とみられている。

★死者は22人と病院当局者
AP通信によると、インドネシアの病院当局者は1日、バリ島同時爆弾テロの死者は22人に上ったと明らかにした。

ヌサドゥア地区の爆発確認されず 
インドネシアのバリ島爆弾テロで、日本人客が多いヌサドゥア地区でも爆発があったと報じたメトロ・テレビは1日夜、同地区では爆発は確認されていないと伝えた。

★旅行代理店対応に追われる
インドネシア・バリ島で1日夕(日本時間同日夜)に起きた同時爆破テロで、日本人も被害を受けたとの情報があり、観光客を送り出している日本の旅行会社も安否確認などの対応に追われた。

ジャルパック(東京)には午後10時半、現地の支店から連絡があった。広報室の2人とバリ島旅行を担当するセクションの3人が急きょ出勤。

バリ島に滞在している客が現在どれくらいいるかも含め確認を急いだが、現地メディアで被害者と伝えられた女性の名前は「今のところ名簿にはない」という。

バリ島は、日本でも若い女性を中心に人気の高い観光地。2002年の大規模テロで日本人夫婦2人を含め、外国人も多く死亡したが、徐々に客足が回復し、事件前の状況に戻った場所もあるという。

しかし外務省は、引き続き注意が必要として、ショッピング・モールなど不特定多数の人が集まる場所や公共施設に近づく場合には、警戒するよう呼び掛けていた。

★回復基調の観光に大打撃−02年に続く爆弾テロ
東南アジア有数の観光地インドネシア・バリ島を1日襲った爆弾テロは、2002年の爆弾テロから回復基調にあった同島の経済に大打撃を与えそうだ。

バリ島はインドネシア観光産業にとってドル箱的存在。今回被害にあったクタ地区は、日本人を含む200人以上が死亡した02年の爆弾テロでも標的となった外国人観光客が集まる有名な繁華街。欧米や日本、オーストラリアなどからの観光客が訪れるホテルや飲食店などが集まっている。

相次ぐテロによるイメージ悪化は避けられず、観光客が再び激減する可能性があり、観光産業で暮らす島民の生活への影響が懸念される。

インドネシアでは02年10月のバリ島テロ、03年8月のジャカルタの米国系高級ホテルを狙ったテロ、04年9月にジャカルタのオーストラリア大使館前で起きた爆弾テロと、過去3年連続で大型テロが起きており、テロ対策がユドヨノ政権の大きな課題となっていた。

★警戒強めた中でのテロ
インドネシアでは、3年連続で起きた大規模テロの首謀者とされるイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(JI)幹部の行方が分かっておらず、今年も治安当局が警戒を強めた中で、再びバリ島でテロが起きた。

ユドヨノ大統領は8月末に「テロ組織が(自爆犯など)人集めや計画を続けていることは分かっている。10月までは過去に大規模テロが起きた特別の時期だ」と述べ、テロ防止に全力を挙げるよう指示していた。

JIはフィリピンやマレーシアにまたがる秘密組織で国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとされる。警察は、2002年のバリ島爆弾テロなど毎年続いた大規模テロについて、JIの爆弾専門家アザハリ容疑者らマレーシア人2人が首謀者と断定している。前回のバリ島爆弾テロで実行犯3人が死刑判決を受けたが、各地に支援者がいるとみられる首謀者2人が捕まらない限り、今後もテロの脅威は続く。

今年5月に米大使館がテロ計画の情報があるとして一時閉鎖。警戒感が強まり、警察は六月から支援者とされるグループを一斉摘発したが、2人の行方の手がかりは得られなかった。

★血に染まる海岸の観光地−3年前の悪夢再び
またも外国人観光客でにぎわうバリ島で1日、大爆音がとどろいた。「あたり一面が血に染まっている」と声を震わせる目撃者。通りには多数の負傷者が横たわる。3年前のテロの悪夢を思い起こさせ、再びテロの恐怖がリゾート客でにぎわう街を包んだ。

爆発があったのはバリ島でも観光の中核となる南部沿岸のクタやジンバラン地区。私も負傷者の移動を手伝った。多くの人が病院に搬送された」と現場にいたインドネシア人。あるホテルの受付の女性は「恐ろしい光景。(爆発で)頭が吹き飛んだ人もいた」と話した。

最初の爆発が起きたとみられるジンバランは、現場近くの日本料理店「土佐の鶴」オーナー山中茂和さん(65)によると、静かな漁師町だったが、ここ数年、焼き魚料理が食べられる海岸沿いのシーフードレストランや屋台が人気で、夕暮れ時になると、夕日を見ようと多くの外国人観光客でごった返すという。

クタの爆発はショッピングセンターで起きた。建物の中にあるレストランは夕食を取る外国人も大勢いたが1階と2階が爆発で大きく壊れた。


米CNNテレビによると、爆発現場付近には警察車両が駆け付け、物々しい警備態勢が敷かれた。身内を失ったのか、うなだれて涙を流す男性も。病院では、観光客らしい白人男性が頭を負傷し、痛々しい姿で応急手当てを受けていた。


地元警察当局者は「複数の爆発があったのは確かだが、詳細は不明だ」と強調した。

山中さんによると、バリ島では1日夕、日本人向けの盆踊り大会が南部ヌサドゥアのホテルで開かれており、在留日本人の多くがこの大会に参加していたという。

★日本人男性1人の死亡を確認
在インドネシア日本大使館は2日未明、バリ島で1日起きた同時爆弾テロで日本人男性1人が死亡したことを確認した。

インドネシアで起きた最近の主な爆弾テロや爆発は次の通り。


2000年8月1日 ジャカルタのフィリピン大使公邸前で2人死亡
9・13      ジャカルタ証券取引所で10人死亡
12・24     各地のキリスト教会などで計15人死亡
02・10・12  バリ島の繁華街のディスコで202人死亡
12・5      スラウェシ島の米国系ファストフード店などで3人死亡
03・4・27   ジャカルタ国際空港の米国系ファストフード店前で11人負傷
8・5       ジャカルタ中心部の米国系高級ホテル前で12人死亡
04・9・9    ジャカルタのオーストラリア大使館前で9人死亡
05・5・28   スラウェシ島の市場などで21人死亡
10・1 バリ島で爆発、死傷者多数


(共同)